「離婚したら名字は旧姓に戻るの?」
「子どもと名字が別になるのは困る……」
「仕事では今の名字を使い続けたいけど、どうすればいい?」
離婚を考えたとき、意外と悩むのが離婚後の名字(氏)をどうするかです。
結論からいうと、婚姻によって名字を変更した人は、離婚すると原則として婚姻前の名字(旧姓)に戻ります。
ただし、希望すれば離婚後も婚姻中の名字をそのまま名乗ることができます。
この記事では、離婚後の名字について、
- 旧姓に戻る場合
- 婚姻中の名字を使い続ける場合
- 3か月以内に必要な手続き
- 子どもの名字はどうなるのか
- どちらを選ぶか迷ったときの考え方
について、できるだけわかりやすく解説します。
※この記事は2026年8月時点の公的機関の情報をもとに作成しています。個別の事情によって手続きが異なる場合がありますので、最終的には市区町村の戸籍担当窓口や家庭裁判所に確認してください。
離婚すると名字はどうなる?
婚姻によって名字を変更した人は、離婚すると原則として婚姻前の名字(旧姓)に戻ります。
たとえば、
- 結婚前:山田花子
- 結婚後:佐藤花子
だった場合、離婚すると原則として「山田花子」に戻ります。
一方で、離婚後も「佐藤」という婚姻中の名字を使い続けたい場合には、別の手続きが必要です。
法務省の離婚届に関する案内でも、離婚届は市区町村に提出する戸籍上の手続きとして案内されています。
離婚後の名字は大きく2つの選択肢がある
離婚によって名字が変わる人には、大きく分けて次の2つの選択肢があります。
① 婚姻前の名字(旧姓)に戻る
離婚によって原則として婚姻前の名字に戻ります。
② 婚姻中の名字をそのまま使う
「離婚後も今の名字を使いたい」という場合は、**「離婚の際に称していた氏を称する届」**を提出します。
これは一般に「婚氏続称の届出」と呼ばれるものです。
自治体の案内でも、婚姻中の名字を引き続き使いたい場合は、この届出が必要とされています。
① 旧姓に戻る場合
もっとも基本的なのが、婚姻前の名字に戻る方法です。
たとえば、
結婚前
→ 田中花子
結婚後
→ 鈴木花子
離婚後
→ 田中花子
という形です。
離婚届では、婚姻前の名字に戻る人について、元の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作るかといった戸籍上の手続きがあります。
ただし、戸籍の状況などによって扱いが異なる場合があるため、離婚届を提出する市区町村の窓口で確認すると安心です。
② 婚姻中の名字を使い続ける場合
「離婚しても今の名字を使いたい」という場合もあります。
たとえば、
結婚前
→ 田中花子
結婚後
→ 鈴木花子
離婚後
→ 鈴木花子
というように、婚姻中の名字をそのまま使うことができます。
その場合は、
「離婚の際に称していた氏を称する届」
を提出します。
この届出は、戸籍法77条の2に基づくものです。法務省の戸籍手続き資料でも、離婚後に婚姻中の名字を称するための届出として位置づけられています。
「婚姻中の名字を使う」ときの期限は3か月
ここは非常に重要です。
婚姻中の名字を離婚後も使いたい場合は、
離婚の日から3か月以内
に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する必要があります。
離婚届と同時に提出することもできます。
東京都府中市や千葉市などの自治体も、離婚と同時、または離婚後3か月以内と案内しています。
3か月を過ぎてしまったら?
3か月を過ぎた後に婚姻中の名字に戻したい場合は、通常の「婚氏続称の届」を出すだけでは足りず、家庭裁判所の許可を得たうえで氏の変更手続きをする必要があります。
そのため、
「今の名字を使いたいけれど、まだ迷っている」
という場合でも、期限だけは忘れないようにしましょう。
離婚届を出した後でも3か月以内なら変更できる?
はい。
離婚届と同時に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出しなくても、離婚後3か月以内であれば、後から届出することができます。
ただし、離婚届と同時に手続きをしない場合は、いったん婚姻前の名字に戻ることになります。
その後、3か月以内に届出をすると婚姻中の名字を称することができます。
そのため、離婚後の名字について迷っている場合は、3か月という期限を意識しておくことが大切です。
子どもの名字はどうなる?
ここも、離婚するときに非常に重要なポイントです。
父母が離婚したからといって、子どもの名字が自動的に変わるわけではありません。
たとえば、
- 母:離婚後に旧姓へ戻る
- 子:父の名字のまま
という状態になることがあります。
東京都大田区も、夫婦が離婚しても子どもの氏と戸籍は自動的には変わらないと案内しています。
母が旧姓に戻ったら、子どもも旧姓にできる?
可能ですが、自動的に変わるわけではありません。
たとえば、
- 母:田中花子
- 子:鈴木太郎
となっていて、子どもも「田中」にしたい場合があります。
このようなケースでは、子どもの年齢や戸籍の状況などに応じて、家庭裁判所への「子の氏の変更許可」の申立てが必要になることがあります。
裁判所によると、父母が離婚し、父の戸籍に入っている子が母の戸籍に移って母の名字を称したい場合には、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
子どもが15歳未満の場合は?
子どもが15歳未満の場合は、原則として親権者などの法定代理人が子どもを代理して申立てをします。
一方、15歳以上の場合は、子ども本人が申立人となります。
裁判所も、15歳以上の場合は本人、15歳未満の場合は法定代理人が手続きをすることを案内しています。
子どもと同じ名字にするために、必ず名字を変える必要はある?
必ずしもそうではありません。
たとえば、母親が離婚後も婚姻中の名字を使い続ければ、子どもと同じ名字のまま生活できるケースがあります。
一方、母親が旧姓に戻ると、子どもと名字が異なるケースが出てきます。
そのため、離婚後の名字を決めるときには、
「自分がどの名字を使いたいか」だけでなく、「子どもの名字をどうするか」も一緒に考える
ことが大切です。
離婚後も婚姻中の名字を使うメリット
婚姻中の名字を使い続けることには、次のようなメリットがあります。
仕事上の変更を減らせる
会社で現在の名字を使っている場合、名字変更に伴う社内手続きや名刺、メールアドレス、資格登録などへの影響を抑えられる可能性があります。
子どもと同じ名字を維持できる場合がある
子どもが婚姻中の名字を名乗っている場合、母親も同じ名字を使い続けることで、名字をそろえた状態で生活できます。
周囲に名字が変わったことを説明する必要が減る
学校や近所、仕事関係など、名字が変わったことを説明する機会を減らしたいと考える人もいるでしょう。
婚姻中の名字を使い続けるデメリット
一方で、注意したい点もあります。
「離婚したら自動的に旧姓に戻れる」とは限らない
婚氏続称の届出をして婚姻中の名字を使い続けた後、やっぱり旧姓に戻したいと思った場合、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。
自治体も、婚氏続称の届出後に婚姻前の名字へ戻す場合は、家庭裁判所の許可が必要になると案内しています。
そのため、
「とりあえず今の名字のままでいいか」
と軽く決めるのではなく、今後の生活も考えて選ぶことが大切です。
旧姓に戻すメリット
旧姓に戻る場合にもメリットがあります。
結婚前の自分の名字に戻れる
「離婚を機に、結婚前の自分に戻りたい」と考えている人にとっては、気持ちの区切りになることがあります。
今後の人生で婚姻中の名字を使い続けなくてよい
元配偶者と同じ名字を使い続けることに抵抗がある場合、旧姓に戻すことで心理的な負担を減らせる可能性があります。
再スタートのきっかけになる
名字を変えることが、気持ちを切り替えるきっかけになる人もいます。
旧姓に戻すデメリット
一方で、名字が変わることでさまざまな変更手続きが発生する可能性があります。
たとえば、
- 勤務先の氏名変更
- 銀行口座
- クレジットカード
- 保険
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 資格・免許
- 子どもの学校や保育園への確認
などです。
必要な手続きは人によって異なるため、離婚後に名字を変更する場合は、自分が使っているサービスや公的書類を一つずつ確認していくと安心です。
どちらを選べばいい?迷ったときの考え方
離婚後の名字には「正解」があるわけではありません。
次のようなポイントを考えてみると決めやすくなります。
仕事ではどの名字を使っている?
仕事で現在の名字が定着している場合は、変更による手間を考えてみましょう。
子どもはどの名字を名乗っている?
子どもと名字をそろえたいのか、それとも自分は旧姓に戻したいのかを考えます。
元配偶者と同じ名字を使うことに抵抗はない?
名字だけでも元配偶者とのつながりを感じてしまう人もいます。
今後、再婚する可能性は?
将来の再婚なども含めて、自分が納得できる選択か考えてみましょう。
数年後もその名字を使いたいと思える?
特に「婚姻中の名字を使い続ける」という選択をする場合は、今だけではなく、数年後の自分の生活も考えることが大切です。
「子どものために婚姻中の名字を使う」必要はある?
これは人によって答えが違います。
「子どもと同じ名字のほうが学校生活で安心だから」と考える人もいれば、
「自分は旧姓に戻りたい」と考える人もいます。
大切なのは、子どもの名字だけを理由に、自分がずっと使いたくない名字を選ばなければならないわけではないということです。
子どもの名字を変更する手続きについても制度があります。
一方で、子どもの年齢や学校生活への影響なども考えながら、子ども本人の気持ちを聞くことも大切です。
離婚後の名字について覚えておきたいこと
最後に、重要なポイントをまとめます。
離婚後の名字のポイント
- 婚姻で名字を変えた人は、離婚すると原則として婚姻前の名字に戻る
- 婚姻中の名字をそのまま使うこともできる
- 婚姻中の名字を使うには「離婚の際に称していた氏を称する届」が必要
- この届出は離婚と同時、または離婚後3か月以内
- 3か月を過ぎると、婚姻中の名字に戻すために家庭裁判所の許可が必要になる場合がある
- 子どもの名字は離婚しただけでは自動的には変わらない
- 子どもの名字を変更して母親の名字にする場合、家庭裁判所の許可が必要になるケースがある
- 名字を一度決めた後に変更したい場合、追加の手続きが必要になることがある
まとめ|離婚後の名字は「これからの生活」を考えて決めよう
離婚後の名字は、
「旧姓に戻る」
または
「婚姻中の名字を使い続ける」
という選択肢があります。
どちらを選んでも間違いではありません。
仕事、子どもの名字、学校生活、周囲への説明、そして自分自身の気持ち。
いろいろなことを考えたうえで、これからの自分と子どもにとって無理のない名字を選ぶことが大切です。
特に、婚姻中の名字を使い続けたい場合は、離婚後3か月以内という期限があるので注意しましょう。
「離婚届を出す前に、名字についてもう少し考えたい」という場合は、離婚届を提出する市区町村の戸籍担当窓口に事前に相談しておくと安心です。
また、子どもの名字を変更する場合は家庭裁判所での手続きが関係することがあるため、裁判所の案内も確認しておきましょう。
参考・参照元
※法律・戸籍に関する制度は変更される場合があります。実際の届出や家庭裁判所への申立てを行う際は、最新の情報を各自治体・裁判所で確認してください。


