離婚して子どもを育てていくことになったとき、
「これから生活していけるかな……」
「子どもにかかるお金が心配」
「ひとり親になったら、どんな手当がもらえるの?」
と、不安になる方は少なくありません。
実は、離婚後のひとり親家庭を対象にした手当・助成・就職支援・資格取得支援・生活支援など、さまざまな制度があります。
ただし、制度によっては所得制限があったり、住んでいる自治体によって内容が違ったり、自分で申請しないともらえないものもあります。
この記事では、シングルマザー・シングルファザーなどのひとり親の方が、離婚後に確認しておきたい制度をまとめました。
※この記事は2026年8月時点で、こども家庭庁・厚生労働省・文部科学省などの公的情報をもとに作成しています。制度や金額は変更される場合があるため、申請前には必ずお住まいの自治体で最新情報を確認してください。
離婚後にまず確認したい「もらえるお金・支援」
離婚後に子どもと生活している場合、まず確認したいのは次の制度です。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- ひとり親家庭の医療費助成
- 就学援助
- 高校生への修学支援
- 自治体独自のひとり親支援
- 資格取得のための給付金
- 職業訓練・求職者支援制度
- 住居確保給付金
- 母子父子寡婦福祉資金貸付制度
この中には「給付金」として返済が不要なものだけでなく、**貸付制度(返済が必要なもの)**もあります。
「お金がもらえる制度」とひとまとめにせず、給付なのか貸付なのかを確認することが大切です。
1.児童手当
まず確認したいのが児童手当です。
児童手当は、ひとり親家庭だけが対象になる制度ではありません。
離婚後に子どもを養育している場合も、支給対象となる可能性があります。
2024年10月から制度が拡充され、現在は0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもが対象です。
児童手当の月額
| 子どもの年齢 | 月額 |
|---|---|
| 3歳未満 | 15,000円 |
| 3歳以上~高校生年代まで | 10,000円 |
| 第3子以降 | 30,000円 |
※第3子以降のカウント方法にはルールがあります。
児童手当は原則として偶数月に2か月分まとめて支給されます。
また、離婚協議中などで父母が別居している場合には、子どもと同居している方に優先的に支給される仕組みがあります。
離婚したら児童手当の受給者変更を忘れずに
離婚によって子どもを養育する人が変わった場合は、児童手当について市区町村への届出が必要になる場合があります。
離婚後に「手当の名義が元夫のままになっていた」ということがないよう、役所で確認しておきましょう。
2.児童扶養手当
シングルマザー・シングルファザーにとって、特に重要なのが児童扶養手当です。
児童扶養手当は、離婚などによって父または母と生計を同じくしていない児童を養育しているひとり親家庭などを対象とした制度です。
所得に応じて、全部支給・一部支給などがあります。
また、2024年11月からは所得限度額と第3子以降の加算額が引き上げられています。
「自分はパートだから対象外かも」と思っている方も、所得だけで自己判断せず、一度自治体に確認してみることをおすすめします。
児童扶養手当は「申請」が必要
児童扶養手当は、自動的に振り込まれるとは限りません。
対象になる可能性がある場合は、住んでいる市区町村の窓口で申請について確認しましょう。
なお、公的年金を受給している場合などは、児童扶養手当との調整が行われることがあります。
3.ひとり親家庭の医療費助成
ひとり親家庭を対象として、子どもや親の医療費を助成する制度を設けている自治体があります。
ただし、ここは注意が必要です。
医療費助成の対象年齢・助成内容・所得制限などは自治体によって異なります。
そのため、
「ひとり親になったから全国どこでも同じ金額が無料になる」
という制度ではありません。
離婚後に転居した場合も、転居先の自治体で必ず確認しましょう。
こども家庭庁も、各自治体が子どもの医療費助成を実施している状況を調査しています。
4.就学援助
子どもが小学生・中学生の場合は、就学援助も確認しておきたい制度です。
就学援助は、経済的な理由によって就学が困難な子どもの保護者に対して、学用品費や給食費などの援助を行う制度です。
ただし、具体的な対象条件や援助内容は自治体によって異なります。
「ひとり親になったけれど、学校にかかるお金がかなり負担になっている」
という場合は、学校や教育委員会、市区町村の窓口に相談してみましょう。
5.高校生の教育費を支援する制度
子どもが高校生の場合は、高校の授業料などを支援する制度もあります。
代表的なものが高等学校等就学支援金制度です。
また、高校生等奨学給付金や、自治体独自の奨学金など、さまざまな教育費支援があります。
さらに、大学・短大・専門学校などへの進学を考えている場合には、高等教育の修学支援新制度も確認しておきましょう。
「大学に行かせてあげたいけれど、ひとり親だから難しいかも」と最初から諦めるのではなく、利用できる支援がないか調べてみることが大切です。
6.資格を取って仕事を変えたいなら「自立支援教育訓練給付金」
離婚をきっかけに、
「今の仕事だけでは生活が厳しい」
「もっと収入を増やしたい」
「資格を取って転職したい」
と考える方もいると思います。
そんな場合に確認したいのが自立支援教育訓練給付金です。
ひとり親の母または父が、対象となる教育訓練を受講して修了した場合に、受講費用の一部が支給される制度です。
現在の制度では、対象となる講座や条件を満たした場合、**経費の60%**が支給される仕組みがあります。
さらに、専門実践教育訓練の対象講座などでは、一定の条件を満たすことで支給額が上乗せされる場合があります。
ここは絶対に注意
この制度は、
「講座を申し込んでから、あとで申請すればいい」
とは限りません。
対象講座として自治体から指定を受ける必要があるため、受講前に自治体へ相談することが重要です。
資格取得を考えているなら、申し込む前に必ず確認しましょう。
7.看護師などの資格を目指すなら「高等職業訓練促進給付金」
「資格を取って、将来的に安定した仕事に就きたい」
というひとり親の方には、高等職業訓練促進給付金もあります。
これは、就職に有利となる資格を取得するために、養成機関で一定期間修業するひとり親の生活費を支援する制度です。
対象資格の例として、
- 看護師
- 准看護師
- 保育士
- 介護福祉士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 調理師
- 製菓衛生師
などがあります。
デジタル分野の一部資格も対象例として示されています。
支給額の例
現在の制度では、訓練期間中、
月額10万円
が基本となっており、住民税課税世帯の場合は月額70,500円です。
また、訓練期間の最後の1年間は支給額が4万円増額されます。
訓練修了後には、5万円(住民税課税世帯は25,000円)の支給があります。
ただし、対象になるためには所得などの条件があります。
例えば、子ども1人の場合の所得水準について、こども家庭庁は「1年間の収入が385万円未満」という例を示しています。
制度を利用したい場合は、必ず事前に自治体へ相談しましょう。
8.仕事を探しているなら「求職者支援制度」
離婚をして仕事を探している方や、転職・スキルアップを考えている方は、ハローワークにも相談してみましょう。
求職者支援制度では、一定の条件を満たす場合、
無料の職業訓練+月10万円の給付金
を受けながら、再就職や転職に向けた訓練を受けられる制度があります。
ただし、月10万円が誰でも受け取れるわけではありません。
収入や資産などの条件があります。
また、給付金の条件を満たさない場合でも、無料の職業訓練を受けられる場合があります。
「子どもがいるから働き方を変えたい」
「資格を取って再就職したい」
という場合は、ハローワークで相談してみる価値があります。
9.家賃が払えないときは「住居確保給付金」
離婚によって世帯収入が大きく減り、
「家賃を払うのが厳しい」
「このままだと住む場所を失ってしまうかもしれない」
という場合には、住居確保給付金という制度があります。
住居確保給付金は、離職などによって住居を失った方、または住居を失うおそれが高い方に対して、一定期間、家賃相当額を支給する制度です。
ただし、収入・資産などの要件があり、誰でも利用できるわけではありません。
「離婚したから自動的にもらえる家賃補助」ではない点には注意してください。
生活に不安がある場合は、自治体の生活困窮者自立相談支援窓口などに早めに相談しましょう。
10.お金を借りる制度「母子父子寡婦福祉資金貸付制度」
「子どもの進学費用が足りない」
「就職や資格取得のためにまとまったお金が必要」
という場合には、母子父子寡婦福祉資金貸付制度があります。
これは、ひとり親家庭などの経済的自立を支援するための貸付制度です。
つまり、基本的には「もらえるお金」ではなく、借りるお金です。
就学・就職・生活などに必要な資金について、自治体から貸付を受けられる場合があります。
利用を検討する場合は、都道府県・指定都市・中核市などの担当窓口へ相談しましょう。
11.自治体独自の「ひとり親支援」も忘れないで
ここが意外と重要です。
国の制度だけではなく、都道府県や市区町村が独自に行っている支援があります。
例えば自治体によって、
- ひとり親家庭への医療費助成
- 家賃に関する支援
- 就職・資格取得支援
- 入学祝い金
- 就学支援
- 家事・育児支援
- 相談支援
- 住宅に関する支援
など、さまざまな制度があります。
ただし、これらは自治体によって内容が大きく違います。
そのため、この記事だけで「自分がいくらもらえる」と判断するのではなく、
「○○市 ひとり親 支援」
「○○区 ひとり親 手当」
など、自分が住んでいる自治体の情報も確認してください。
離婚後に「お金がない」と感じたら、まずどこに相談すればいい?
制度が多すぎて、
「結局、どこに聞けばいいの?」
と思ってしまいますよね。
そんなときは、まず市区町村の役所に相談してみましょう。
窓口の名前は自治体によって異なりますが、
- 子育て支援課
- こども家庭課
- 児童福祉課
- ひとり親支援担当
- 福祉事務所
などが窓口になっていることがあります。
「離婚してひとり親になったので、利用できる手当や支援制度を全部確認したいです」
と伝えて大丈夫です。
自分だけで制度を探すより、役所で「使える制度をまとめて教えてください」と相談するほうが早い場合があります。
こども家庭庁も、ひとり親向けのポータルサイトを設け、シングルマザー・シングルファザー向けの支援情報を案内しています。
離婚後に確認したい「お金・支援制度」チェックリスト
離婚したばかりで何から始めればいいかわからない方は、まずここを確認してみてください。
- 児童手当の受給者変更・申請を確認した
- 児童扶養手当を申請できるか確認した
- ひとり親家庭の医療費助成を確認した
- 子どもの就学援助を確認した
- 高校の授業料・奨学給付金などを確認した
- 大学・専門学校などの進学支援を確認した
- 自治体独自のひとり親支援を確認した
- 資格取得の支援制度を確認した
- ハローワークの職業訓練を確認した
- 家賃の支払いが厳しい場合は住居確保給付金を確認した
- 進学・資格取得などでまとまったお金が必要なら貸付制度を確認した
「知らなかった」で損をしないために
離婚後は、住民票・健康保険・年金・子どもの学校関係など、やらなければならないことが一気に増えます。
そのうえ、
「こんな制度があるなんて知らなかった」
ということも少なくありません。
特に、児童扶養手当や自治体独自の助成、資格取得のための給付金などは、自分から申請・相談しなければ利用できない場合があります。
だからこそ、
「自分は対象じゃないかも」
と決めつけず、まず役所に確認することが大切です。
まとめ|ひとり親になったら「もらえるお金」だけでなく支援も確認しよう
離婚後の生活を支える制度には、
児童手当
児童扶養手当
医療費助成
就学援助
教育費の支援
資格取得の給付金
職業訓練
住居支援
貸付制度
などがあります。
ただし、すべての制度がすべてのひとり親家庭に適用されるわけではありません。
所得、子どもの年齢、就労状況、住んでいる自治体などによって条件が変わります。
だからこそ、離婚後は早めに役所へ行って、
「ひとり親になったのですが、利用できる制度をまとめて教えてください」
と相談してみてください。
一人で抱え込まず、使える制度は遠慮なく調べていきましょう。
離婚後の生活は、最初の数か月が特に大変です。
でも、知らないだけで利用できる支援が残っていることがあります。
「もらえるものはない」と諦める前に、まず確認する。
それだけでも、これからの生活を少し楽にできる可能性があります。
この記事の主な参照元
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- こども家庭庁「児童扶養手当について」
- こども家庭庁「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業について」
- こども家庭庁「高等職業訓練促進給付金のご案内」
- こども家庭庁「ひとり親家庭のためのポータルサイト」
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」
- 厚生労働省「雇用・求職者支援制度」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」


